私は最近のテレビのクイズ番組が好きではありません。特に著名大学生ばかりを取り上げる姿勢を苦々しく思っています。多くを知っていてもそれを統合し活用する力がなければ只の物知りでしかありません。人類学者のインゴルドは「これ程知識が溢れているのに、それが智慧に結びつかない時代は、実際これまでの歴史にはなかった」と看破しています(朝日新聞「折々のことば」より)。両者の違いは料理に例えるなら、どんなに高価な材料(知識)を集めても、それを調理する腕(智慧)がなければその持ち味を活かせません。反対にジャガイモやニンジンだけで何種類もの調理ができる人もいます。これが智慧の働きでしょう。禅語に「蛇の飲み水は毒となり、牛の飲む水は乳となる」といいます。自宅に居ながらあらゆる情報が手軽に手に入れられる時代です。それらの真偽や正邪を見分ける智慧がなければ、踊らされてアタマの健康を蝕むだけです。年の瀬を迎え家だけでなくアタマの掃除にもトライしてみましょう。
△土曜坐禅会 5日・19日 午前7時
△日曜坐禅会 13日・27日 午前7時
テキスト『正法眼蔵随聞記』 ちくま学芸文庫で入手出来ます。
△暁天坐禅会 毎朝5時より6時まで
△写経会 8日(火)午後1時から
【今 月 の 言 葉】
独坐す間窓の下
唯だ聞く落葉頻りなるを 【良寛和尚】
人のこと我に向こうて言う人は
さこそ我がこと人に言うらん 【禅林世語集】