風はまだまだ冷たいのですが、春到来の足音がためらいがちに聞こえてくる時節となりました。私は春爛漫と咲き誇る桜より、ひかえめにひっそりと咲く梅にひかれます。香りは記憶を呼び覚ますといいますが、年度末と言うこともあって、何かと変化の多いこの月には、梅のような甘酸っぱい思い出がたくさんあります。「それでも過去たちは やさしく睫に憩う」(愛燦々)と言いますが、楽しい思い出よりそうでないもののほうが、時間が経つと懐かしくなってくるように思えます。掌に載せて眺められるものもあれば、まだまだの思い出も・・・。いろいろなことが新しく始まる四月が輝いて見える分、この月には陰翳のある味わいがあるように思います。そんな三月、私は一年で一番好きです。
△ 土曜坐禅会 4日・18日 午前7時~
△ 日曜坐禅会 12日・26日 午前7時~
△ 暁天坐禅会 毎朝5時より6時まで
△ 写経会 7日(火) 午後1時から
今 月 の 言 葉
帰り来たって偶々梅花の下を過ぐれば
春は枝頭にあって已に十分 【唐 詩】
住み慣れしこの世は仮の宿なるに
心とどむる人ぞはかなき 【禅林句集】