境内の木立から「テッペンカケタカ」とホトトギスの鳴き声が聞こえるようになりました。インドから中国南部で越冬して、この時期になるとやってくる夏鳥です。その元気な鳴き声は「特許許可局」とか「本尊掛けたか」とか、聞き手によって様々。私が20代の大半を過ごした南禅寺の裏山では夜に鳴くこともあり、同じ鳴き声なのに昼とは違ってとてももの悲しく聞こえたものです。丁度入門したての頃で、それまでとは全く違う生活に戸惑い続ける毎日でした。修行そのものより、上には絶対服従という中での理不尽さに身心共に参ってしまい、かといって逃げ帰って師匠の顔に泥を塗るわけにもいかずという心境の頃でした。後に中国では滅ぼされてしまった故里に「帰りたい」と血を吐くまで鳴いたと言う故事から「不如帰」と記すと知り、納得したものです。ホトトギスの鳴き声にまつわる、今ではなつかしい青春のひとこまです。
△ 土曜坐禅 5日・19日 午前7時~
△ 日曜坐禅 13日・27日 午前7時~
テキスト『正法眼蔵随聞記』
△ 暁天坐禅会 毎朝5時より6時まで
△ 写経会 8日( 火)午後1時~
今 月 の 言 葉
緑竹烟りを含み 清山翠を鎖す 【五燈会元】
昼ながら幽かに光る蛍一つ
孟宗の藪を出でて消えたり 【北原白秋】