《5月の道友会》
私の生家は静岡の山間部にあり、安倍川からの霧と寒暖差が大きいことから高級茶である本山茶の栽培を生業としていました。丁度今頃は新茶の爽やかな緑色と製茶工場からの香ばしい匂いと活気が村中に溢れていたものです。先日新聞の投書欄に介護施設で働く職員さんが「入居者の老婦人から『急須で煎れたお茶がどうしても飲みたいのでお願いします』と涙ながらに懇願されたが、規則で応えてあげることが出来ず、とてもつらい思いをした」という投書がありました。お茶といえばペットボトル入りのお茶が当たり前になって急須のない家庭も少なくないとか。また煎茶も深蒸し茶が主流となってしまいましたが、これはお湯を冷ましてゆっくりと味を引き出すというゆとりのない現代人向けに開発された技術なのです。前述の老婦人にとってお茶は単なる飲み物ではなく、急須で煎れるお茶の時間が生活のアクセントとして大切な意味があったのでしょう。たとえ慎ましい生活であってもお茶だけはちょっとした贅沢を、というような人生が伺えるかのようなエピソードでした。
△ 日曜法話会 5日(日) 午後2時~
『平穏死を考える』(ヴィデオ視聴あります)
△ 土曜坐禅会 4日・18日 午前7時~
△ 日曜坐禅会 12日・26日 午前7時~
△ 暁天坐禅会 毎朝5時より6時まで
△ 写経会 14日(火)午後1時~
今 月 の 言葉
水竹辺より流出して冷ややかに
風花裏より過ぎ来たって香し 【禅林句集】
分け入っても分け入っても青い山 【山頭火】